|
ジョン・L. カスティ
青土社
¥ 2,310
(2004-11)
|
今、読んでいる本を紹介しておきたい。レビューは読了後に。
プリンストン高等研究所はアインシュタインやニールス・ボーア、クルト・ゲーデル、オッペンハイマーらの20世紀を代表する物理学者、科学者、数学者が終結していた研究所として名高い。まさに知の巨城である。本書は史実とフィクションを織り交ぜながら、この研究所の物語を綴っている。数学者が抱えている命題や、哲学とのやむをえない接続、彼らが抱えていた真理探究のための貪欲なまでの懐疑心に桁外れの思考を感じ取ることができる。
彼らが話題にしていたところを多少なりとも垣間見れるということに大きな喜びを感じる。使われている言葉はもちろん、思考の網もやはり難解な命題ばかりだ。だが、彼らとて我々と同じ人類である。人間が考えうる境地というものを遠巻きにも感得できることは素晴らしいことだ。この本が「物語」であることを差し引いても、非常にエキサイティングに人類を揺さぶってくれる。そんな本である。