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「脳」整理法 
「脳」整理法
「脳」整理法
茂木 健一郎

近年の「脳」ブームは止まるところを知らないようだ。著者の茂木氏はNHKの番組の司会・コーディネーターをも勤めているから、割合知っている方も多いかと思われる。脳科学者との触れ込みであるが、ある意味では脳に対する「新しい角度」からのアプローチを試みている人物と言っても良いだろう。幾つか本書に語られるキーワードがあるが、量も膨大なものだ。印象的な部分を切り出して見ることとしよう。

偶有性

世の多くのことは「半ば偶然に、半ば必然に起こる」偶有性に満ちていると著者は言う。考えてみれば、我々にとって夜の間に「明日が明るくなると考えること」は経験的に確信があるが、もしかしたら夜に太陽が爆発して明日は明るくなくなってしまうかもしれないという可能性を「0」と断言することは出来ない。そうした「ある程度予想はされるが、最終的にはわからないこと」が世の中のほとんどを占めているのである。それを偶有性と呼ぶのである。よく考えると日常生活を送る中では、常に人間にはこの偶有性が付きまとっているということが言えよう。コインを投げて「表が出るか、裏が出るか」は確率では50パーセントといえるが、2回に1回必ず表が出る保証はどこにもない。
社会を俯瞰する一つの尺度である「統計」は、統計としての真理を持つことはあるだろうが、出生率1.29などと言われても現実には2人子供がいる家庭も数多くある。そうした統計科学と日常の現実はイコールで結ばれないことの方が多いと言えるだろう。そうした人間社会の偶有性を意識して生活を送るとき、少なからない「幅のある思考」をすることが出来ると思われるのである。

セレンディピティ

あまり聞きなれない単語である「セレンディピティ」の意味は「偶然の幸運に出会う能力」と解される。偶然なのに能力と展開するのは、普段の思考とは異質なイメージがあるであろう。よく「運も実力のうち」という表現があるが、あの感覚に近いだろうか。私も平素から「運は実力のうち」と思ってきた。まさに実力ありて運を掴むのである。
セレンディピティが注目されるのは「偶然を必然にしたい」願望を持ち、それを実際にある程度実現している人間の脳の働きと関係しているからである。セレンディピティを高めるには「まずは具体的な行動を起こす」ことからスタートする。そして目標に対して有効な縁に「気付く」ことが求められる。結果そうした縁を「受け入れる=受容」というプロセスを採る。加えて根本的に重要なのは、そうした縁に触れた時に力を発揮できるだけの「準備」がなされているかどうかがポイントになるのである。平素より目標に対してのスキルアップ・ブラッシュアップを継続的に行う者にセレンディピティが働くと言ってよいであろう。であるからこそ、「運も実力のうち」なのである。脳がそのような受け入れ態勢と思考を重ねて行くところに、偶然の幸運を掴み取るチャンスが芽生えるのである。
世紀の大発見などと言われる学問の成果のような類のものも、セレンディピティの存在を痛感させる例と言って良い。幼い頃に聞いたホメロスの抒情詩を信じきっていたシュリーマンがトロイ遺跡を発掘したりしたのも好例であろう。こう考えると、人間は脳の使い方次第で「幸運を掴み取る実力」を意識して養うことも可能なのである。

脳の使い方を切り替える

この書には普段我々を支配してやまない「愚かな当たり前」を破る力があるように感ずる。『バカの壁』もそうであるが、人間の認識一般などは甚だ怪しげなものであると主張する。そうした「脳」のクセを一度切り替える意味でも本書に触れる意味は小さくない。脳そのものの分析、いわゆるニューロンがどうとか、グリア細胞がどうとか、前頭連合野がどうとか、そうした個々の役割を解説するのではなく、「脳」という器官が人間に対してどのような意味合いを持っているのかを客観的姿勢を維持しながら解説した「新しい我々」を発見できる書であろう。
| 本ココ! | 21:42 | comments(2) | trackbacks(0)
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コメント
とどまることを知らない昨今の「脳ブーム」。書店やコンビニなどへ行くと、必ず!といっていいほど、雑誌の「脳トレ特集」とか「脳を鍛える大人のなになにドリル」などという脳関連事項がそろっている。しかし、“脳を鍛える”ことと、人間の幸福とは何かというと、そこにはあまり深い関連がないように思える。

それよりも、脳という「魂の器」が、幸福とどう関係があるかということが実は重要なのではないか。この「『脳』整理法」は、著者である茂木健一郎博士が、この世は半ば偶然で半ば必然だという「偶有性」、幸福を掴む能力「セレンディピティ」などについて命がけで教え、表層的な「脳ブーム」にかかわり無く、このITが支配する時代に、生き生きとした人生を歩むには如何すればよいか、ということを我々に伝え、「愚かなあたりまえ」から抜け出す方法を伝授しようとしている。
一読に値する書だ。
| 銀鏡反応 | 2006/04/19 7:15 PM |
「脳を鍛える」ということの本質がどうも見られていないのが世の中ではないでしょうか。計算ができても、記憶ができても、それ自体が幸福というわけではありませんし。

本書に示された偶有性の概念は何となく日々人間が感じていたことであると思います。ただそれを改めて「思考のまな板」に載せたのが茂木さんの新しいところだと思います。偶有性、考えてみれば当たり前のことでもあるんですよね。
私はセレンディピティには強く感銘を受けました。「幸福を掴む能力」。良い言葉です。
| 一哲 | 2006/04/21 2:48 PM |
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