<< September 2017 | 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 >>

amazon image   amazon image   amazon image   amazon image   amazon image   amazon image   amazon image  
<< 戦略思考ができない日本人 | main | 「脳」整理法 >>
スポンサーサイト 

一定期間更新がないため広告を表示しています

| - | | - | -
超バカの壁 
超バカの壁
超バカの壁
養老 孟司

大ヒットした『バカの壁』『死の壁』に続くのが本書である。随分と仰々しい帯が付いているなと感じたが、購入し一読したのでレビューしておこう。
読了直後に感じたことは、本質的にはほぼ前作と内容は変わらないということであろうか。社会一般通念の認識にメスが入っていると言って良い。表紙を見ると現代の問題(若者、自分、テロ、男女、子供、反日、靖国、お金、心理、老人、世間、本気等)が羅列して書かれているが、そのどれをも掘り下げて考えているというよりは「人間の認識の限界」を提示することと、氏の専門分野である「解剖学」などの見地から問題解釈が行われているということである。本書の帯に『この「壁」を超えるのはあなた』と仰々しく書かれているが、超えられるような内容構成であるかどうかに意識が配されているとは感じない。書の内容自体が「著者への質問に対して答える」というスタンスを採っているためか、パラグラフごとの結論は著者が持つラジカルな発想に帰着するように見受けられる。質問に答えているのだから当たり前と言えば当たり前だが。あとがきで著者も「ついホンネが出てしまった」というようなことを書いている。そこにそれなりの説得力を含有するのは、前作のヒットという前提もあるだろうし、解剖学者としての異質な確度からの人間・環境分析を試みているからであろう。

私は著者の豊富で特異な経験そのものが、彼の主張を補完、あるいは柱そのものであるという状況を見過ごしてはならないと感ずる。著者の経験を踏まえた考察を容易に「否定し得ない立場の読者である我々」は、彼の説くところを「本来の社会通念」として受け入れやすい心理に立たされているはずである。だがそこは少し間を置かねばならないだろう。
例えば「テレビでの暴力シーンの放送が子供に悪影響するだろうか」というくだりがある。一般通念では「悪影響する」と認識されていると言って差し支えなかろう。一方、著者は本当にそれが正しいかどうかを調べるには膨大な時間と金がかかると主張する。そしてその因果性を解き明かすのは相当難しいと述べる。時代劇に見る暴力(悪の成敗)と、その他の暴力シーンとで子供に対する悪影響の度合い差を量ることは無理に近いと。だが調べるという行為自体は価値があるという。結果的には「わからない」ということが「わかるからだ」と結論している。この書を貫いている結論の一つは「わからないということを知りなさい」ということでもあるのだ。確かにそれは一つの答えの出し方ではあるだろうが、どうも読者を充足させる答えとも思えない。およそ世の中で「わかる」もののあまりに少ないことは私もよく承知している。だが、どのような認識を持とうとも人は生きていかねばならない。より良く生きていくための方法が「限界を知る」だけであったとしたら、何とも残念な生であると私は感ずる。

ただ、著者の視点は「一般に言われてる狭い概念を打ち破る力がある」ということは言えそうだ。人間の認識や考えそのものがどのくらい実際の社会を形作っているのかは未知数だが、少なくとも話題のニートやフリーターへの考え方、その他の諸問題を考える際に本来比較すべき対象の拡大、一般人に比べて豊富な事例検討を通して社会を俯瞰する機会提供を与えていることだけは理解できる。こうした書によって「書自体の話題性」は高まるであろうが、社会一般の認識を変革せしめるかどうかは読者自身の納得度合いに関わってくるであろう。
私個人で言うならば、個々が幅広く思考するという姿勢が備わってこなければ、彼の説を「消化すること自体」不可能なのではないかという感想を得た。

すなわち、「無関心には敵わない」と。
| 本ココ! | 17:02 | comments(0) | trackbacks(1)
スポンサーサイト 
| - | 17:02 | - | -
コメント
コメントする









この記事のトラックバックURL
http://read.jugem.jp/trackback/32
トラックバック
超バカの壁<養老孟司>−(本:今年30冊目)−
新潮社 ; ISBN: 4106101491 ; (2006/01/14) 評価:88点(100点満点) ベストセラーとなった「バカの壁」「死の壁」に続く壁シリーズ第3弾。 まあ、内容的には養老先生がさまざまな話題に対して持論をズバズバと言っているだけの本だ。 だが、このおっさんの凄
| デコ親父は減量中(映画と本と格闘技とダイエットなどをつらつらと) | 2006/04/01 9:48 AM |
selected entries
categories
archives
recent comment
recent trackbacks
mobile
qrcode
links
profile